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愛知県【白老(はくろう)澤田酒造】醸造半島知多の個性豊かな蔵元

清酒「白老」を醸す澤田酒造は、幕末の嘉永元年、1848年に創業し、当時は灘に次ぐ全国二位の生産量を誇った「知多酒」の一翼をにない、明治時代には自社に醸造試験所を設け、速醸の礎となる乳酸添加による酒母造りの開発に成功しました。以来、米の旨みを大切にいかした、料理をひきたてる酒を造るため、基本に忠実な酒造りを通じて品質第一に歩んでいます。江戸時代から受け継がれる古式伝承の製法を守りながら、若い蔵人ならではの感性を活かし、これからの時代の日本酒づくりに果敢に挑戦する、澤田酒造をご紹介します。

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「白老」の歴史、風土

愛知県には40以上の酒蔵があり、大きく分けて「名古屋」「尾張」「知多」「三河」の4地域で醸されています。澤田酒造は西に伊勢湾、東に三河湾に面した南北に長い半島、知多半島の西岸の位置する常滑市にあります。(下記地図の28番)

醸造半島知多の個性豊かな蔵元

江戸時代後期から明治初期にかけて灘に次ぐ一大酒処として、知多には最盛期の明治4年には227軒の酒蔵がありました。知多半島で醸造業が発展した背景には、海路を使い江戸へ物資を運ぶ尾州廻船の存在がありました。澤田家の本家はこの廻船業を営み、その分家が1848年に酒造業を始め、常滑市古場町で170年以上酒造りを続けています。

常滑の年間平均気温16.5℃(名古屋は15.5℃)と一年通して温暖な地域ですが、伊勢湾からほど近い澤田酒造は、冬は対岸の三重県の鈴鹿山脈から吹き降ろしてくる冬の冷たい風『伊吹おろし』をうけ、とても寒くなります。この強い風を効率よく蔵内に取り入れるような設定で酒蔵が建てられています。

三河湾を挟んで向き合う知多半島と⻄三河地区は、古くから醸造業が盛んで、特に江⼾時代以降、酒・酢・味醂・味噌・醤油といった醸造食品の一大生産拠点として発展しました。澤田酒造の酒は地元の食文化に寄り添い、味噌や醤油は大豆から作られるアミノ酸が非常に多い旨味みのある味わいのある醸造食品、特に、愛知の調味料「豆味噌」「たまり醤油」で味付けされた野菜や魚料理によく合います。地酒の伝統的な味わいで、お米の旨みを大切に活かし、食中酒として料理を引き立ててくれます。

「白老」の米、水、造り、人

地元の酒米へのこだわり

澤田酒造では「お米からお酒を醸造する伝統産業」という観点から、地域や人の可能性を醸すものとして、地元常滑の契約農家さんに丁寧に育てた愛知の酒造好適米「若水」、「夢吟香」等を中心に使っています。さらに令和3年度から、愛知県産の山田錦として表示できることになりました。合わせて各地の優良な酒造好適米、兵庫県東条産山田錦、広島県産千本錦、富山県産五百万石等、も取り寄せて使用しています。

絶え間なく流れる知多の湧水

仕込みに使う水は、蔵から約2キロ離れた丘陵部に湧く天然水です。江戸時代に水源を見つけて、自家水道を繋ぎ使用しています。今でも豊富な水量で、24時間絶え間なく流れ続けていて、飲み水、酒造りに利用しています。水質は、まろやかで素直な軟水です。

古式伝承による酒造り

古くからの伝統的な製法を守り、大きな和釜の上に、杉の木でできた木の樽にお米を入れて蒸す、(こしき)を乗せる方法をとっております。その後の麹を作る作業では、小さな麹蓋(こうじぶた)を使うことで、大変手間暇がかかりますが、一つ一つ手をかけていくことで、きめ細い作業ができて、良い麹作りに繋がっています。古式伝承による酒造りを文化としても受け継いでいらっしゃいます。

若き蔵人たちが牽引

現在、六代目の澤田薫さんへと継承されました。薫さんの夫の英敏さんが副社長として、伝統的な製法を守りながら、南部杜氏のもとで修業した若手社員杜氏と、20代から30代、40代の比較的若い蔵人とで、酒造りに取り組まれています。

古くから陶都として知られている常滑は、瀬戸や信楽など日本六古窯のひとつとして最古、最大を誇っています。古くから交易で栄え、さまざまな地域からもたらされた新しい文化と、伝統文化を融合させることで発展を遂げてきた常滑焼。そんな歴史に裏付けられた職人が集う常滑にある澤田酒造らしく、伝統と進化を旨に若き蔵人たちの熱い心が現代に息づきます。

「白老」のこれから

昨年2020年11月に、澤田酒造の麹室で火災が発生しました。従業員に怪我はありませんでしたが、白老の酒造りに欠かせない麹を生み出してきた麹室が全焼しました。

この未曾有の危機に、ファンからSNSで応援メッセージや、義援金を募るサイトも出来る等、多くの方に支援の輪が広がりました。愛知と三重の酒蔵4社が名乗りを上げ、合わせて3トンの麹作りを引き受けました。他の酒蔵で麹を作ってもらうことは異例なことでしたが、これにより仕込みが再開し、春には新酒を届けることができました。

ファンと國酒を守る仲間の支援で苦難を乗り越え、これからに繋ぎたい

(他の酒蔵で麹を作っていただける申し出に)意外でした。本当にそこまで言ってくれるんだぁって思いました。麹を造っていただくって、本当に普段ではありえないことだし、そうやって言ってくださると言うのが本当に嬉しいです。
アドバイスをくださった酒造さんもご自身が以前災害にあった時に、他の酒造さんから日本酒というものが日本の食文化だから、それを守るために國酒を守るんだということで支援を頂いた。だから、それを次は自分がやる番だということで、動いてくださったんですね。
その話を聞いて私もタスキを繋ぎたいというか、バトンを渡していくような役割ができればなぁと思っています。

6代目蔵元 澤田薫

麹室は今夏に再建が始まり、この冬の仕込みから新しい麹室で麹作りが再開します。
澤田酒造、澤田さんを取り囲むファンと國酒を守る同業の仲間の支援で苦難を乗り越え、再建された麹室でのはじまりの酒が今から待ちきれません。

「白老」のラインナップ紹介

「白老」は、初代の澤田儀平冶が「よりよい原料を丁寧に扱い、米を白くなるまで磨く」という「美しさ」の意味を込めた「白」と、「延命長寿と老成した技」という意味を込めた「老」を重ねたところから命名されたと言い伝えられています。

白老 純米大吟醸
●価格 720ml:¥2,530(税込)
   1800ml:¥4,070(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

酒米の最高峰の産地、兵庫県特A地区の東条山田錦を全量使用した純米大吟醸酒です。「おうちで気軽に楽しめる純米大吟醸」がコンセプト。穏やかな香りで、季節のお食事と合わせて食中酒としても楽しめます。

●おいしい飲み方:冷酒から常温、少し温めても美味しくお召し上がりいただけます。
●原料米:兵庫県産特A地区東条山田錦100%
●精米歩合:50%
●アルコール度数: 16度以上17度未満

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白老 夢吟香 純米吟醸 火入れ
●価格 720ml:¥1,650(税込)
   1800ml:¥3,300(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

愛知県常滑産の地元の酒米「夢吟香」を使用した純米吟醸 火入れです。吟醸香と味わいのバランスを取れた、旨口の吟醸酒です。

●おいしい飲み方:冷やか常温でお召し上がりください。
●原料米:愛知県常滑産 夢吟香100%
●精米歩合:55%
●アルコール度数:16度

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白老 特別純米酒
●価格 720ml:¥1,375(税込)
   1800ml:¥2,750(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

白老らしい濃醇な味わいで飲むほどに旨さがひろがります。ラベルには、酒蔵から近い空港をイメージさせる飛行機と、常滑沖の海、海苔の養殖の風景が描かれています。

●おいしい飲み方:冷酒から熱燗まで、どの温度帯でもおいしくお召し上がりいただけます。
●原料米:知多半島産「若水」100%
●精米歩合:60%
●アルコール度数:15度以上16度未満

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でらから 純米白老
●価格 720ml:¥1,331(税込)
   1800ml:¥2,255(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

全国燗酒コンテスト2020 お値打ち熱燗部門【最高金賞】受賞。辛口好きのための超辛口純米酒で、家飲みの晩酌に最適です。お米はあえて磨かず造った旨みのある辛口純米酒。愛知の食にも合います。
●おいしい飲み方:常温、ぬる燗でおいしくお召し上がりいただけます。
●原料米:酒造好適米・加工米
●精米歩合:65%
●アルコール度数:15度以上16度未満

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からから 白老
●価格 720ml:¥1,320(税込)
   1800ml:¥2,145(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

全国燗酒コンテスト2020 お値打ち熱燗部門【金賞】受賞。日本酒度+10の超辛口ながら、旨さもしっかりと持った、白老の定番人気商品です。

●おいしい飲み方:冷酒から熱燗まで、どの温度帯でもおいしくお召し上がりいただけます。
●原料米:酒造好適米・加工米
●精米歩合:75%
●アルコール度数:15度以上16度未満

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梅酒

酒米を地元愛知県知多市の佐布里梅を、ワラ灰の水に一晩漬け込みアク抜き、丁寧に洗浄した後、ひとつひとつ根気よく手作業によるヘタとりなど、原料と製法にとことんこだわって造られています。北海道産の氷砂糖を用い、江戸時時代の書物「本朝食鑑」の梅酒造りを復刻しています。

純米大吟醸仕込みの梅酒 白老梅
●価格 500ml:¥2,200(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

最高級酒造好適米山田錦の純米大吟醸古酒に漬け込んだ白老渾身の梅酒です。日本酒と梅酒の良さを兼ね備え、すっきり、甘さ控えめです。
●おいしい飲み方:ストレート・ロック・ぬる燗でおいしくお召し上がりいただけます。
●原料米:清酒(愛知県産 澤田酒造醸造 純米大吟醸酒)、梅(愛知県知多産)、氷砂糖(北海道産甜菜糖原料)
●アルコール度数:10度

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純米吟醸仕込みの梅酒 白老梅
●価格 500ml:¥1,760(税込)
(2021年7月時点のサイト価格表示)

純米吟醸古酒に漬け込んだ上品な甘さの梅酒です。爽やかな梅の香りと酸味、日本酒ベースならではまろやかな味わいです。
●おいしい飲み方:ストレート・ロック・ぬる燗でおいしくお召し上がりいただけます。
●原料米:清酒(愛知県産 澤田酒造醸造 純米吟醸酒)、梅(愛知県知多産)、氷砂糖(北海道産甜菜糖原料)
●アルコール度数:10度

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■会社概要

住所〒479-0818
愛知県常滑市古場町4-10(MAP
代表者澤田 薫
TEL0569-35-4003
FAX0569-35-6953
E-Mailsawadasyuzou@hakurou.com
URLwww.hakurou.com

名古屋から伊勢湾岸を知多半島へ続く道を進むと、約1時間程で澤田酒造が見えてきます。空路でセントレア空港へお越しの方は、ちょうど対岸に酒蔵が位置しています。風光明媚な知多半島の自然を感じながら、酒蔵に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

古式伝承の製法を守り、知多の湧水と厳選した米で、丁寧な手造りを行う、醸造半島知多の個性豊かな蔵元、澤田酒造の「白老」をどうぞ飲み比べて、お召し上がりください。
愛知県には個性的で、おいしい日本酒が沢山あります。これからも愛知県の日本酒を紹介して参ります。

この記事は私が取材しました。

おいしい日本酒 編集部

デジタル・メディア『おいしい日本酒』は、唎酒師の資格を持つ編集長と、日本酒業界に精通するスーパーバイザーの監修のもと、日本酒に関わるコンテンツを、読者目線でわかりやすく、楽しくお届けします。

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