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食事とのペアリングで日本酒をさらに深く味わおう!

日本酒を飲んだとき、こんなふうに感じたことはありませんか?

「甘めの味わいだな」
「酸味を感じて口の中がキュッとなるな」
「スッキリした味わいだな」
「喉にまでガツンとくる辛さだな」

このように、日本酒は銘柄やお米の品種によって、味のひろがりが異なります。
今回は、味わいによるおすすめのペアリングをご紹介させていただきます。

①ジューシーな酸を感じるお酒

口に含むと、お口の中がキュッと引き締まるような感覚になるのが、酸味のあるお酒。フルーツに例えるとマスカットやライチなど、爽やかなイメージです。

こういったお酒に合うのが、「揚げ物」です!

唐揚げにレモンをかけた経験はございますか?
なぜレモンをかけるのか。唐揚げはそのままでももちろん美味しいですが、油がしつこく感じる時もありますよね。そんな時にレモンをかけることで、脂の重さを感じにくくなります。

ジューシーな酸を感じるお酒は、レモンの役割を果たしてくれます!重たい脂を酸で切ってくれるので、揚げ物をよりおいしく味わうことができます。

おすすめ銘柄

風の森ALPHA1
・製造:油長酒造株式会社
(奈良県御所市1160番地)

マスカットや白桃を思わせるようなジューシーな酸味に加え、ほどよい甘味とキレも感じられます。14%と低アルコールで、揚げ物の脂をスッと流してくれる一本。

仙禽 ナチュール 
仙禽クラシック
・製造:株式会社 せんきん
(栃木県さくら市馬場106)

 ライムやりんごのようなフレッシュな酸と、ジューシーな甘みが特徴。唐揚げやとり天など、油を使った料理と合わせると互いの良さが引き立ちます。

②生酛・山廃系の日本酒

日本酒には、「生酛(きもと)」「山廃(やまはい)」といった造り方がございます。
この造りは、日本酒造りにおける伝統的な技法です。

日本酒ができるまでには、「酒母(しゅぼ)」という行程がございます。
酵母をしっかりと育て、雑菌を寄せつけない環境を整える行程です。

現代のおもな酒造りでは、この段階で必要な乳酸を人工的に加えます。速やかに乳酸を加えることで雑菌を防ぎ、酵母が増えやすい環境をつくります。これを「速醸(そくじょう)」と言います。

速醸に対して、生酛・山廃はタンクの中でゆっくり時間をかけ、乳酸を自然発生させます。1ヶ月ほどかけて乳酸を生成させることで、味わいに旨みや酸、どっしりとした熟成感、複雑さをもたらせます。また、香りも穏やか。ナッツのような落ち着いた香りを楽しむことができます。

こういった生酛・山廃系の味わいには、おなじく熟成された食材や、香りを楽しむような食材がとっても合います!

乳酸菌の働きで旨味と酸味が増したブルーチーズや、香ばしさが特徴の、燻製したサーモンやナッツベーコンなど。生酛・山廃系と合わせることで、口の中で香りと旨味が重なり、深みのある味わいを楽しむことができます。

おすすめ銘柄

大七純米生もと
製造:大七酒造株式会社
(福島県二本松市⽵田1-66)

生酛造りの王道とも言えるお酒。お酒の旨みをたっぷりと楽しむことができます。お燗にすると、さらに圧倒的な旨みが口中に拡がります。

菊姫 山廃純米 鶴乃里
製造:菊姫合資会社
(石川県白山市鶴来新町タ8番地)

山廃仕込みならではの力強さを持つお酒。バナナのような果実香がします。ミルキーな風味もしつつ、最後にはキリッとした酸味が引き締めてくれる一本です。

③まろやか旨口タイプのお酒

舌をスーッと流れていくような、柔らかい口当たり。
甘すぎず、辛すぎず、酸も控えめ。香りも穏やかで派手すぎない。

お米の厚みやコクが真なん中にあり、でも重たすぎない味わいが特徴的なこのタイプ。このような丸みのあるお酒は、繊細なお料理の味をしっかりと引き立ててくれます!

白身魚やお寿司、出汁の効いたお料理や、塩で引き締めたお料理など。
繊細な味を消すことなく、むしろ寄り添ってくれます。

また、まろやか旨口タイプのお酒は後味の余韻が短く、スッキリしているのが特徴的。
お料理のまま余韻を上書きせず、口の中が重たくなりません。

おすすめ銘柄

田酒 特別純米
製造:株式会社 西田酒造店
(青森県青森市油川大浜46)

まろやか旨口の王道です。香りは控えめで、落ち着いた印象を持ちます。米の旨みがしっかりしていて、ふくらみがありつつもキレの良さが共存してわいます。白身魚のお刺身や、焼き魚、出汁の効いた和食のお料理にぴったりです。

而今 特別純米 生
【製造】木屋正酒造合資会社
〒518-0726 三重県名張市本町314-1

ジューシーさ、瑞々しさのある旨口タイプのお酒です。酵母由来のやわらかなフルーティーさを持ち、旨みがありつつも軽やかでモダンな特徴があります。余韻のキレがよく、瑞々しい酸がまとめてくれるような味わいです。

さまざまなタイプ別にペアリングをご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
おうちごはんに、外食に。その時々でぴったりの日本酒を合わせて、食事をより一層楽しく彩ってみてはいかがでしょうか!

『おいしいSAKE』でも人気の日本酒ペアリングの記事でした。
他にも様々な切り口の記事がございますので、合わせてお読みください。
▼ペアリング記事
https://oishiisake.jp/category/taste/pairing/

『おいしいSAKE』がお届けする街歩きイベントへお越しいただき、酒蔵がオススメする日本酒と、飲食店がご用意するペアリングをどうぞ味わいください。
▼おいしいSAKE WALK【公式】2026年5月23日(土)開催予定
https://event.oishiisake.jp/

この記事は私が取材しました。

たかぎ あゆ

ライター兼酒販店での販売スタッフをしています。もともと日本酒が好きでしたが、販売員として日々お客様や造り手と接するうちに、その味わいの奥深さや長い歴史、そして造り手の想いにますます魅了されました。さまざまな角度からあふれ出る日本酒の魅力を、自分なりのことばで丁寧にお伝えしていきたいと思います。

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