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予想外!驚きの貯蔵方法の日本酒3選!!

日本酒が酒蔵でどのように貯蔵されているかご存じですか?
タンクの中で貯蔵、瓶に詰めて冷蔵庫で貯蔵が一般的です。

でも、驚き!の意外な所で貯蔵されているお酒もあるのです!!
その意外な場所とは?

そう、普通は、タンクや冷蔵庫の中で美味しく熟成されるように保管貯蔵されています。
でも、それ以上に美味しくなる場所があるのです!

美味しいだけではありません。
こんな所で貯蔵、保管されていたら
「えっ、どうなるの?」
「美味しくなるのかな?」
「冷蔵庫で保管するのと一緒でないの?」
「夢、ロマンがあるよね!」

と、色んな声が飛んできそうなビックリな場所で保管されているのです。
しかも、美味しい!!!のです。

そんな様子を見るだけで、日本酒も楽しい!面白い!浪漫だ!と、凄く楽しめる日本酒です。
今回は、そんな日本酒の貯蔵方法によるお酒の魅力に迫ります!

すぐに驚きの貯蔵方法の日本酒をチェックしたい方はこちら

1.貯蔵の条件は?

日本酒は、新酒を搾った時には、酵素が生きており、炭酸ガスも残ってシュワシュワして爽快感があります。口の中で弾ける様な感じがして若々しく瑞々しい感じがします。
新酒のしぼりたては、それはそれで美味しいのですが、そのままだと、酵素が働き品質がどんどん劣化していきます。その劣化を止めるために、一度加熱殺菌処理をすることで、品質の劣化を防ぎます。
 
その後、貯蔵して、出荷の時を待ちます。

加熱殺菌により、シュワシュワとした若々しい爽快感や瑞々しさは失われますが、しっかりとまろやかに熟成されたまとまりのある酒になります。
 
その間、どの様にして貯蔵されているのでしょうか?

一般的には、サーマルタンクの中で冷蔵貯蔵か、瓶に詰められて冷蔵庫の中で貯蔵され、まろやかに円熟の時を待ちます。

  貯蔵の条件として
 ・冷蔵保管のできる所
 ・光のあたらない所
 ・静かな所

  などがあげられます。

しかし、冷蔵庫だけでなく、様々な場所で貯蔵させることで、更に美味しくなることがあります。さぁ、どんな場所で貯蔵されているのか見てみましょう!

2.貯蔵している場所の特徴

1)雪室の中

福井県吉田郡永平寺町にある白龍醸造元 吉田酒造有限会社では、雪室の中で日本酒を貯蔵してます。

☆雪室(ゆきむろ)
それは、古よりの日本人の生活の中から生まれた「天然の冷蔵庫」です。
冬の間に降り積もった雪で山を作り、藁などを使って雪を囲い、夏まで貯蔵して活用する、まさに雪国ならではの知恵なのです。
その中には、野菜はもとより、魚なども貯蔵されていました。

それを現在は、藁の代わりに建屋の中に雪害と言われる雪を貯蔵して、天然の冷蔵庫「雪室貯蔵」として米、野菜、酒、魚、肉などの貯蔵に利用されています。

☆電気冷蔵庫とは、何が違うの?天然の冷蔵庫・雪室。

① 微妙な温度変化がない
  電気冷蔵庫では、通常、設定温度に対して、プラス、マイナス2~3度を繰り返します。一方、雪室は、冬場はもちろん、夏場も天然の冷気で冷やされ続けることで、温度はほぼ一定に保つことができます。

② 振動がない
  冷蔵庫は、ファンで冷気を送ります。ファンが動く時は振動があります。しかし、雪室には、振動はなく、至って静か。振動がないので、静かに安定して貯蔵ができる。

③ 光がない
  冷蔵庫は、人の出入りがあり、その都度、蛍光灯が付けられるが、雪室の場合、効果が表れる3か月間は、人の出入りが無く、電気をつけられることもないので、ほぼ真っ暗な中での貯蔵となります。

④ 湿度が高い
  低温高湿度なので、呼吸や乾燥を抑え、鮮度をより良く保ち、貯蔵できます。

⑤ 分子会合の変化でよりマイルドに
  アルコールと水の分子会合が解け、水素結合します。その事で、口あたりがマイルドに。

⑥ 省エネ
  雪の冷熱利用なので、二酸化炭素を排出せず、クリーンエネルギー!

映像で公益財団法人雪だるま財団 伊藤親臣先生が熱く語っておられます。

吉田酒造有限会社では、永平寺町の隣、勝山市にある雪室を利用して酒を貯蔵しています。光が当たらず、振動、温度変化の少ないストレスフリーなほぼ3度の天然冷蔵庫「雪室」貯蔵の酒は、冷蔵庫保管の酒よりも綺麗に熟成がすすみ、よりマイルドな味わいになります。

先人の知恵や雪景色などにも、思いをはせてお酒をお楽しみください。

2)海の中

海の中で貯蔵をしているのは、岐阜県岐阜市にある達磨正宗さんです。
海の中での貯蔵なんて、どうなるんだろう?って、ワクワクしてきませんか?
海底に眠るお宝発見!みたいな気分になります。

海の中での貯蔵は、どんなの?

冬から6月までの7ヶ月間、南伊豆の中木沖の水深約15~20mの海の底に沈んでいます。この間、海の底でゆっくりと熟成が進みます。

海の中の特徴は?
① 波のとても細かな振動があるので、蔵の中よりもぐっとまろやかな味わいに。
② 水温は、夏でも7~8度と低温で一定
③ 海の中なので、瓶に貝や海藻など、海からの贈り物が付いている場合がある。
④ 何よりも、夢、ロマンのある酒に。


魚たちの会話、動き、海の中の音も心地よい音楽と環境となり、美味しく熟成されているのではないでしょうか。

岐阜市の達磨正宗では、古酒にするために麹の量を通常の1.5倍使って酒を醸造しているので、新酒の時には淡い山吹色が熟成を重ねると少しずつ濃くなっていきます。また、海の中の静かな振動で、蔵内熟成よりぐっとまろやかな味わいになり、余韻が心地よいお酒に仕上がります。
達磨正宗醸造元 合資会社白木恒助商店 HPより参照)

3)トンネルの中

長い長~いトンネルの中で貯蔵しているのは、長野県大町市にある白馬錦醸造元 株式会社薄井商店さんです。
このトンネルは、北アルプスの山麓、標高900mにある紅葉の名所で知られる高瀬渓谷にある七倉ダム湖の湖畔のトンネル貯蔵庫です。貯蔵トンネルは一本道で、その長さはおおよそ500M程。ここに蔵から持ち出したお酒をひと夏の間、熟成を重ねます。
4月下旬に貯蔵し、4か月間の貯蔵を経て秋熟として出荷されます。

トンネルの中の特徴は?
① 自然の力で気温がほぼ一定。
  おおよそ8度から真夏でも11度までしか上がらないという安定した低温環境
② 貯蔵期間中は、誰も入らないので真っ暗で光りがない。
③ 山のトンネルの中で振動もない

安定した低温貯蔵で、光も振動もない、天然の優れた環境の中での貯蔵です。
綺麗に静かにゆっくりと熟成されていきますね。
白馬錦醸造元 株式会社薄井商店 HPより参照)

3.貯蔵している場所の共通項はあるの?

雪室、海の中、トンネルの中、どの場所でも共通していることは

⑴ 一定の安定した低温であること。
⑵ 静かで人の出入りがないこと。
⑶ 振動がなかったり、心地よいとても静かな揺れであること。
⑷ 湿度もある程度あり、乾燥してないこと。
⑸ 光もない、あるいは、弱い状態であること。
⑹ ストレスが少ない環境で味わいが綺麗にまろやかになること。

4.おすすめの日本酒3選

それでは、いよいよオススメの日本酒です。

1. 雪室の中「白龍 純米吟醸雪室囲い

白龍 純米吟醸雪室囲い
●価格 720ml:¥1,650(税込)
(2021年5月時点のサイト価格表示)

品のあるフルーティな香りと雪解け水の様に透き通った綺麗で張りのあるスッキリとした純米吟醸酒です。雪室の中で3か月間貯蔵されて、綺麗に熟成されて更にまろやな味わいに。
【おいしい飲み方】冷や◎ 常温〇 燗酒×
【合う料理】スッキリ綺麗な味わいなので、白身魚のお刺身、ナスの煮びたし、椀物
>>この日本酒をもっと詳しく知る

●原料米:福井県永平寺町産五百万石(掛け米)福井県永平寺町産山田錦(麹米)
●精米歩合:55%
●仕込み水:地下10mよりくみ上げた白山麓の雪解け伏流水(軟水)
●アルコール度:15.5度
●製造:吉田酒造有限会社(福井県吉田郡永平寺町北島7-22)

2.海の中「達磨正宗 海中熟成酒 2020年醸造

達磨正宗 海中熟成酒2020年醸造
●価格 720ml:¥7,700(税込)
(2021年5月時点のサイト価格表示)

古酒用に醸造した純米酒(2020年醸造)
海中での熟成による変化も大きいのではないかと思い、味わいが深く、甘口で酸やアミノ酸もしっかりしている古酒にするために造ったお酒を海中熟成させています。海中貯蔵で、よりまろやかに、余韻のしっかり続く酒。
【おいしい飲み方】冷や◎ 常温〇 燗酒〇 ロックやソーダ割もおすすめ
【合う料理】カルパッチョやバターの効いた魚のムニエル、チーズ、アイスクリーム
>>この日本酒をもっと詳しく知る

●原料米:岐阜県産日本晴れ(掛け米)富山県産雄山錦(麹米)
●仕込み水:地下10mよりくみ上げた白山麓の雪解け伏流水(軟水)
●アルコール度:16度
●製造:合資会社白木恒助商店(岐阜県岐阜市門屋門61)

3.トンネルの中「白馬錦 アルプス湖洞貯蔵 純米吟醸 瓶囲い秋熟」

白馬錦 アルプス湖洞貯蔵 純米吟醸 瓶囲い秋
●価格 720ml:¥1,650(税込)
(2021年5月時点のサイト価格表示)

仄かにリンゴ系の上品な香りがあり、丸みのあるキレイなアタックとマイルドな旨味を感じつつ、僅かな熟成感とともに、ゆったりと落ち着いた味わいが広がりながら、余韻はさらりとした印象を残しスムーズにフェードアウトします。
【おいしい飲み方】冷や◎ 常温〇 燗酒〇
【合う料理】秋の里山の食材、山菜のお浸し、茶わん蒸し、おち鮎の塩焼き
>>この日本酒をもっと詳しく知る

●原料米:長野県大町市産美山錦
●精米歩合:55%
●アルコール度:15.5度
●製造:株式会社薄井商店(長野県大町市大町2512-2)

雪室の中の「白龍」、海の中の「達磨正宗」、トンネルの中の「白馬錦」。
定番酒と飲み比べてみると、味わいの違いが分かって、贅沢な楽しみ方ができそうです。

*令和2年度補正 ものづくり補助金により作成

この記事は私が取材しました。

おいしい日本酒 編集部

デジタル・メディア『おいしい日本酒』は、唎酒師の資格を持つ編集長と、日本酒業界に精通するスーパーバイザーの監修のもと、日本酒に関わるコンテンツを、読者目線でわかりやすく、楽しくお届けします。

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