春の日本酒に「にごり酒」を|種類・特徴とおすすめ3選

軽やかな味わいの日本酒が恋しくなる、春。そんな季節に多く出回るのが「にごり酒」です。
白く濁った見た目から、甘くて重たい印象を持たれがちなにごり酒ですが、実はすっきりとした飲み口や、シュワっとした爽やかさを楽しめるものも多く、春にぴったりの1本。
本記事では、にごり酒の基本や種類、春におすすめの理由に加えて、タイプ別のおすすめ銘柄をご紹介します。自分に合った一杯を見つけて、春のひとときを、より豊かに彩ってみてはいかがでしょうか。
にごり酒とは
白く濁った見た目が特徴の「にごり酒」。一見すると甘くて重たいお酒のように思われがちですが、実はさまざまな味わいが楽しめる日本酒のひとつです。
にごり酒は、発酵中のもろみを粗くこして仕上げたもの。一般的な透明の日本酒よりもろ過の工程が少なく、米の細かな粒や旨みが残っているのが特徴です。そのため、口に含むとやさしい甘みやコク、とろりとした舌ざわりを感じられます。
また、発酵による炭酸ガスが残っているタイプは、シュワっとした爽やかさも魅力。軽やかなものから濃厚なものまで幅広く、日本酒初心者でも親しみやすい存在です。

春ににごり酒が多い理由
春になると、にごり酒を見かける機会がぐっと増えます。その理由のひとつが、日本酒の仕込み時期にあります。多くの酒蔵では冬に仕込みが行われ、春先にかけて新酒が完成します。そのタイミングで、もろみを粗くこした「にごり酒」も出回りはじめます。
できたばかりの新酒は、フレッシュでみずみずしい味わいが魅力。にごり酒の場合は、そこに米の旨みややわらかな甘みが加わり、より親しみやすい飲み口になります。また、発酵による微発泡の爽やかさも感じられるため、少しずつ暖かくなってくる春の空気にもよく合います。
お花見や昼飲みなど、外でお酒を楽しむ機会が増える季節。軽やかさとコクをあわせ持つにごり酒は、そんな春のシーンにぴったりの1本といえそうです。

にごり酒の種類と特徴
ひと口に「にごり酒」といっても、その味わいや飲み心地はさまざまです。大きく分けると、軽やかなものから濃厚なものまで、いくつかのタイプがあります。
まず、さらりとした飲み口の「うすにごり」。ほんのりと濁る程度で、すっきりとした味わいが特徴です。日本酒らしいキレも感じられるため、食事と合わせやすいタイプです。
一方で、発酵による炭酸ガスを含んだ「活性にごり」は、シュワっとした爽やかさが魅力。軽快で飲みやすく、日本酒にあまり慣れていない人にも親しみやすいタイプです。
そして、しっかりと濁りが残る「濃厚タイプ」は、米の旨みや甘みをより強く感じられるのが特徴。デザート感覚で楽しめるものも多く、ゆっくり味わいたいときにぴったり。
それぞれに個性があるので、その日の気分やシーンに合わせて選べるのも、にごり酒の魅力のひとつです。

タイプ別おすすめのにごり酒
にごり酒は種類によって味わいが大きく異なるため、好みに合わせて選ぶのがおすすめです。ここではタイプ別に、春に楽しみたいにごり酒をいくつかご紹介します。

①久保田 純米吟醸にごり
製造:朝日酒造株式会社
(新潟県長岡市朝日880-1)
まずおすすめしたいのが、「久保田にごり」です。
にごり酒は、どろっとした舌触りをイメージする方が多いかもしれません。久保田のにごりは、さらっとなめらかな口当たりで、すっきりフルーティーな味わい。日本酒やにごり酒が初めての方にもおすすめの1本です。

②菊姫 にごり酒
製造:菊姫合資会社
(石川県白山市鶴来新町タ8番地)
続いてご紹介するのは、「菊姫にごり」。
菊姫といえば山廃仕込の技術が高く評価されていて、コクのある味わいが特徴的。そんな菊姫のにごり酒も、山廃仕込です。もろみを荒くこしたにごり酒ならではの、しっかりとした旨みとコクを感じられます。濃厚でありながら後味はすっと切れ、飲みごたえと飲みやすさをあわせ持った1本です。

③獺祭 純米大吟醸 にごりスパークリング
製造:株式会社獺祭
(山口県岩国市周東町獺越2167-4)
続いてご紹介するのは、「獺祭 純米大吟醸 にごりスパークリング」。
純米大吟醸ならではの華やかな香りと、山田錦由来のやさしい甘みが特徴です。さらに、瓶内二次発酵によって生まれるきめ細やかな炭酸が、軽やかで爽やかな飲み心地を演出します。にごり酒でありながらすっきりとした後味で、日本酒に慣れていない方でも親しみやすい一本です。
それぞれに異なる魅力があるので、その日の気分やシーンに合わせて選ぶのも楽しみのひとつ。春のひとときに寄り添う一本を見つけてみてください。
にごり酒の楽しみ方
にごり酒をよりおいしく楽しむために、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
まず意識したいのが、開栓前の扱い方。にごり酒は中に炭酸ガスが含まれていることが多く、特に活性タイプは振ると吹きこぼれることも。開ける前はなるべく揺らさず、ゆっくりとガスを逃がしながら開栓するのが安心です。
また、飲む前に軽く混ぜるか、そのまま上澄みから楽しむかで味わいも変わります。最初はすっきりとした部分を、途中から全体を混ぜてコクを感じるなど、一杯の中で変化を楽しめるのも魅力です。
合わせる料理は、塩気のあるものやシンプルな味付けのものがおすすめ。チーズや揚げ物などとも相性がよく、意外な組み合わせを楽しめるのもにごり酒ならではです。
少しのポイントを意識するだけで、にごり酒の楽しみ方はぐっと広がります。春のひとときに、ゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。

この記事は私が取材しました。
たかぎ あゆ
ライター兼酒販店での販売スタッフをしています。もともと日本酒が好きでしたが、販売員として日々お客様や造り手と接するうちに、その味わいの奥深さや長い歴史、そして造り手の想いにますます魅了されました。さまざまな角度からあふれ出る日本酒の魅力を、自分なりのことばで丁寧にお伝えしていきたいと思います。

